最古の棟札
では、気仙大工の建築はどこまでさかのぼるだろうか。それには建築年代と大工の名前がわからなければならない。それには棟札などの建築記録を調べればよい。 気仙最古の棟札は大船渡市・熊野神社本殿棟札である。棟札によると寛永18年(1641)大工将監によって建てられた。ただし、熊野神社は過去数回再建されているので、当時の建物は存在しない。
大工将監については居住地(出身地)が記載されていないので、気仙大工と断定できない。他に長谷寺棟札に登場するが、年代が離れているので、別人であろう。
気仙大工の建築で最も古いものは、元禄10年(1697)の浄福寺である。その棟札も建物も存在しないが、浄福寺再建棟札(寛政12年、1800)の裏に先殿の記されている。また、陸前高田市・常膳寺観音堂は、元禄9年(1696)の記録があるが、大工はわかっていない。寛政から文化・文政年間の建築は、比較的よく残っている。浄福寺本堂(寛政12年、1800)、長安寺山門(寛政12年、1800=推定)、正徳寺(文化3年、1806)、普門寺三重塔(文化6年、1809大工不詳)など注目すべき建築が数多い。